コラム 2017.12.05 【現役の眼】元日本代表MF、橋本英郎が選出する「2017・J2ベストイレブン」 (C)SOCCER DIGEST 長かった2017年のJ2リーグが終わりました。名古屋グランパスがプレーオフを制してJ1に昇格しましたね。グランパスに関わる皆さま、本当におめでとうございます。 僕たち東京ヴェルディは残念ながら、アビスパ福岡にプレーオフで敗れてしまいました。ヴェルディとしてはそれまでなかなかプレーオフまで行けなかったところで、ようやくその辺りまで来られたのだと、ポジティブに捉えてもいいのではないかと思います。来年、期待ですね。 今回はサッカーダイジェスト編集部からの依頼で、僕なりに「2017シーズン・J2ベストイレブン」を考えて、選出してみました。ヴェルディの選手とも少し対戦した時に感じた話などを聞きながら、絞り込みを進めて……。あくまでも感覚的な選び方なので、その点をご理解いただけると嬉しいです。 布陣は3-4-3システムで、まずはゴールキーパーから。V・ファーレン長崎の増田卓也選手です。 J1のサンフレッチェ広島から加入したこともあり、全体的な安定感、クリア(足下の技術)に加えて、効果的な飛び出しもあり、僕が観てきたなかで大きなミスは少なかったと思います。ヴェルディの柴崎貴広選手も好セーブを多く見せてくれました。35歳になっても素晴らしい成長を示しているので選びたかったのですが、やはりここは、クラブ史上初めてのJ1昇格を後方から支え続けた増田選手を選びました。 DFは3枚です。 1人目は、ジェフ千葉の近藤直也選手。シーズン前半戦における千葉のハイライン、ハイプレスの戦術は、センターバックにかかる負担が尋常ではなかったと思います。そんななか、最終的にバランスを整えていったのが彼で、守備面の整備に多大な貢献を果たしました。千葉の終盤戦はすごかったですね。連勝で猛烈な追い上げを見せました。失点数が大幅に改善されたことが、プレーオフ進出に繋がったのだと考えます。 2人目は、福岡の冨安健洋選手です。シーズン中もプレーオフでの対戦でも、ヴェルディを完璧に抑え込み、また、ビルドアップでも他の選手との違いを見せつけていました。東京五輪世代とまだかなり若い選手(19歳)ですが、年間を通して活躍していましたし、ベストイレブン選出が妥当だろうと思います。 もうひとりは、大分トリニータの鈴木義宜選手。大分はJ3からの昇格組でしたが、安定したチームパフォーマンスで着実に勝ち星を挙げ、プレーオフ進出目前にまで近づきました。そのなかで鈴木選手の後方からのチャレンジあるビルドアップは、ひとつの支えになっていたと思います。プレスのハマりを回避するプレーが上手く、ヴェルディの某選手からのオススメで選出しました。 (C)SOCCER DIGEST 中盤は4人です。いわゆるボックス型で、ボランチとサイドハーフを2名ずつピックアップしました。 右サイドは、名古屋の青木亮太選手ですね。彼のキレキレのプレーはチームメイトやファンだけでなく、対戦相手も魅了されたと思います。若手らしく、シーズンを戦うなかで急激な成長を見せていました。ポテンシャルはトップクラス! J1の舞台で才能をより開花させてほしいですね。 2ボランチは、湘南ベルマーレの秋野央樹選手と、徳島ヴォルティスの岩尾憲選手。 秋野選手はヴェルディ戦での安定したプレーぶりが際立ってましたし、2戦目では豪快なミドルを決められました。終始圧巻のパフォーマンス。シーズンを通して名前をよく耳にしたのもあって、選出させてもらいました。 岩尾選手は、開幕戦でヴェルディの内田達也選手がその良さを実感していましたね。最初はそこまでではないと見ていましたが、最終節で対戦してあらためて存在感と堅実なプレーを目の当たりにしました。徳島はどうしても渡大生選手のプレーに目が行きがちですが、チームを躍進に導いたのはやはり、岩尾選手の安定感だったと思います。 そしてお待たせしました! 左サイドは、ヴェルディの安西幸輝選手です。彼もこの1年でグッと飛躍し、また、チームがプレーオフ進出を勝ち得たのは彼の成長によるところが大きかったと感じています。ポジションも両サイドバックだけでなく、両ウイングもこなし、チームディフェンスの安定に寄与するだけでなく、前線からのプレス、加えて前線から戻っての守備、そこからの前線への飛び出しと、まさにフル稼働でした。シーズンを通しての素晴らしい出来を称えたいと思います。 (C)SOCCER DIGEST 前線は3トップになります。 まずは、名古屋のガブリエル・シャビエル選手。名古屋が昇格できたのは、彼の夏の加入が大きかったと思いますし、チームを勢いづかせましたよね。青木選手の成長を助けた部分もありますし、玉田圭司選手、佐藤寿人選手、そして田口泰士選手らの良さも引き出していました。そのハイパフォーマンスだけでなく、チームにもたらした相乗効果は計り知れなかったと思います。シーズン途中の入団ですが、十分、ベストイレブンに選ばれて然りのプレーヤーです。 中央は、横浜FCのイバ選手です。ずばり、ザ・外国籍選手! その圧倒的なパワーで日本人のディフェンダーは抑え込まれ、一方で足下の技術も持ち合わせてますから、かなり手ごわかったと思います。J1でも得点を量産できるんじゃないでしょうか。25得点でJ2得点王に輝きましたし、コンスタントに結果を出した文句なしのストライカーです。 最後のひとりは、湘南の山田直輝選手。今季の湘南に安定感をもたらしたのは先述の秋野選手ですが、山田選手が攻から守、守から攻の切り替えのスイッチを押し、チームを前線から引っ張り続けたことも大きかったように感じます。彼自身、大きな怪我を何度も経験してきましたが、今季はフルで戦い抜いた。これが湘南のJ2昇格を早期に実現させ、リーグ王者に導いた要因のひとつだと見ています。 さて、僕の選んだ11人はいかがだったでしょうか。異論反論はたくさんあると思いますし、ほかにも選びたい選手がいる一方で、いろんなチームから選びたいとも考えながら、けっこう頭を悩ませました。 今回の11人でもし応援している、お気に入りの選手がいて喜んでもらえたなら、僕としても嬉しいです。 <了> 橋本英郎 サッカーダイジェストWEBより転載 http://www.soccerdigestweb.com/news/detail/id=33355 前の記事へ 一覧へ 次の記事へ 関連の記事 コラム 2019.09.30 【コラム】サッカーとフットサルの違い①(小西コーチ) コラム 2019.10.14 【コラム】道(ジュニアユースチーム田原監督) コラム 2019.05.09 プログレッソ=進歩、向上